脱法シェアハウスとは
若者の間でシェアハウスが注目を浴びている中で、極端に狭い住居を貸し出す脱法シェアハウス(違法貸しルーム)が問題になっています。
シェアハウスという住み方が近年広まったものであり、法律としての解釈にあいまいな部分があるので、そういう部分をついたような脱法シェアハウスが増えてきました。
脱法シェアハウスの特徴としては共同住宅としてではなく法令上の規制が緩やかなレンタルオフィスやレンタル倉庫として届けられているわけですが、実際は2から3畳程度ずつ区切られた小スペースを住居用として貸し出しています。
行政側にしてもこういう建物が住居なのかオフィスなのか宿泊施設なのかはっきりしないということで摘発や指導を見送るケースが多かったわけです。
こういう脱法シェアハウスに住む人はどういう点が魅力に映ったのかというと、保証人や敷金・礼金が不要であったり、賃貸アパート・マンションの相場に比べて賃料が安く、初期費用が抑えられるということがあります。
低所得者が仕事を見つけるためにはまず定住先を見つける必要があり、定住先の候補としてこういう脱法シェアハウスが手っ取り早いということです。
脱法シェアハウスの危険
脱法シェアハウスの何がいけないのかというと、居住空間の快適性や安全性について問題があるからです。
個室に窓が無いというのは建築基準法違反の可能性がありますし、防火器具や火災報知機が無い場合には消防法違反の可能性があります。
共同住宅であれば避難経路の確保なども必要になります。
さらに、自治体の条例などでさらに別の制限を加えている場合もあるのです。
脱法シェアハウスが増える背景としては利用者がホームレスになるよりは安い賃料で借りたいというニーズと業者側がより儲けたいというニーズが合致したからです。
具体的にはファミリーマンション1戸が20万円の賃料だった場合を10室に区切って1室3万円で貸し出したときには、満室であれば30万円を得ることができます。
このように分譲マンションの1室を脱法シェアハウスに改修するというケースが見られます。
脱法シェアハウスは住居の安全性という面から見ると問題はあるわけですが、その一方で非正規雇用の増加が背景にあってこういう施設が低所得者層の住まいの受け皿になっているという側面もありますね。
必要な規制というものはしないといけないですが、規制強化が進みすぎた場合は今度はそういう施設に入居している人たちがホームレスに転落するという恐れもあり難しい問題です。